ステンレスとは?

「ステンレス」とは、鉄の最大の弱点である「さび」を防止するために鉄にクロム、またはクロムとニッケルなどを含有させた合金鋼のことを言います。
一般的には、鉄に少なくとも約10.5%以上のクロムを含有した合金鋼のことをそう呼んでいます。
内部の組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイトフェライト系、析出硬化系の5種に大別されます。

ステンレスの歴史

ステンレスが生まれるまではが主流でした。

鉄は、熱処理を行うことによって、強さや硬さや性質を自由に調節することができるため、非常に使い勝手がいいものでした。
でも、錆びやすいという欠点があり、それを補うためにメッキや塗装などが行われましたが、それにも限界がありました。

そして、約100年ほど前(1900年代初頭頃)、多くの研究者が鉄に代わる合金の研究を進め鉄に約12%以上のクロムを含有した場合、非常に錆びにくい合金になるという事が発見されました。ここに鉄の利便性を残しつつ、かつ錆びにくいという夢のステンレス鋼が誕生しました。

ステンレスの名前の由来

stainless steel

「ステンレス」とは、英語の表記が語源になっています。
ステンレスは100年ぐらい前のイギリスで生まれました。(主成分のクロムの発見自体は、18世紀のフランスらしいですが。)

正式名称は、「stainless steel」といいます。

それぞれの意味はstain=汚れ、さび less=ない steel=
つまり、直訳してしまうと「錆びない鉄、錆びにくい鉄」というようになります。

JIS規格の名称

また、ステンレスの規格表記の際には、「SUS304」や「SUS430」など「SUS〜」という名称を使用します。
これは、Steel Use Stainlessの略称で、JIS規格の鋼種名です。これによって、このステンレスがどういう種類のステンレスかというのを識別します。
ちなみに、最も一般的に使用されているステンレスは、SUS304の18 - 8(18%クロム 8%ニッケル含有の意味)と呼ばれるもので当社の製品も、ほぼこの種類のものを使用しています。

なぜステンレスは錆びにくいのか?

なぜ鉄がさびるのか

まず、なぜ鉄がさびるのかについて簡単に説明します。本来、「鉄」という物質は、そもそも地上で金属としてそのまま存在していることは稀なことです。
たいてい「鉄」という物質は、その原料となる「鉄鉱石」という名前の鉱石として存在しています。

ちなみに、「鉄鉱石」とは「酸素」と「鉄」がまじりあった塊です。だから、もともと「酸素」と「鉄」は非常に仲良しです。つまり、自然界に「鉄鉱石」として存在している状態が、彼らにとって、もっとも安定した状態なのです。

その鉱石から、人間たちが、自分たちの使い勝手がいいように、高熱で加熱したりして、「酸素」をひっぺがします
それがいわゆる「鉄」といわれるものです。
でも、そうなると「鉄」は当然、仲良しの「酸素」の元にもどりたがります。隙があれば戻ろうとします。

そして、その「鉄」を「酸素と水分」のある場所(空気中など)に置くと、今がチャンス、とばかりに「酸素」と「鉄」が結合し、元の酸化鉄(安定した状態)に戻ろうと表面からいわゆる「酸化」をしていきます。それが一般的に「錆び」といわれる状態なのです。つまり、人工的な状態から元の状態に近いものに戻りたがる現象なんですね。

なぜステンレスは錆びにくいのか

ステンレスとは、ベースが鉄なので当然、非常に鉄に近いものです。

では、なぜステンレスはさびにくいのでしょうか?それは、ステンレスに含まれている成分クロムニッケルなどが非常に関係しています。
ステンレスを空気中にさらした場合、鉄が空気中の酸素とくっつく(上記の酸化)よりも先に、ステンレス中に含まれるクロム元素と呼ばれる物質が、酸素と結合してしまい、表面に不動態化皮膜(酸化皮膜)という非常に薄い膜を作り出します。この膜がつくられると、鉄と酸素の結合を防御してしまい、酸化を防いでくれる役割を果たします。

そして、その不動態化皮膜そのものにも、非常に強力な再生能力があり、また表面を保護する役割も果たしているのでステンレスは、鉄に近いものでありながら、非常に錆びにくいのです。また、ニッケルは、この皮膜をさらに強化する役割を果しています。つまり、ステンレスが錆びにくいのは、含有されているクロムやニッケルにより構成される不動態化皮膜とよばれるもののおかげです。

ステンレスは錆びないのか?

確かにステンレスは、他の鋼に比べ、はるかに耐食性にすぐれています。
かと言って、絶対に錆びないというわけではありません。

食塩水に長時間つけたり、潮風のある海辺で長時間使用したり一部の洗剤などを使用して洗ったりすると皮膜がとれて、ベースの鉄が現れ、やはり錆びてしまうことがあります。また、錆びた鉄などをステンレスに接触させたまま放置しておくと錆がステンレスの方に移動し、いわゆる「もらい錆」などの現象も起こる可能性はあります。その他では、高熱にさらすと錆びやすくなることもあるそうです。

つまり、ステンレスは錆びないと思い込み、日ごろのメンテナンスを怠るとさすがのステンレスでも錆びてしまうということです。
だから、汚れやサビが目立つ前に、軽い拭き掃除を行ったり、水に濡らしたあとは乾いた布でちゃんと拭いたり日頃からメンテナンスすることは非常に大事なことです。